IPOのメモ帳 ㈱さくらさくプラスってどんな会社?

現在ブックビルディング期間中の㈱さくらさくプラス(7097、東証マザーズ)について、当社の内容について解説します。





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以下はこのIPOに関わる基本情報です(楽天証券参考)。

  • 銘柄コード:7097
  • 銘柄名:株式会社さくらさくプラス
  • 仮条件:2,230円~2,330円
  • ブックビルディング期間:2020年10月13日10:00~2020年10月19日10:50
  • 申込上限株数:100株
  • 申込株数単位:100株単位
  • 公開価格決定日:2020年10月20日
  • 公開価格:未定
  • 当社購入申込期間:2020年10月21日10:00~2020年10月23日14:00
  • 抽選日時:2020年10月23日夕方頃
  • 公開日:2020年10月28日

※以上は2020年10月17日午前時点の楽天証券内の情報です。最新の情報は逐次確認をお願いします。

企業概要

  • 本店所在地:東京都千代田区有楽町一丁目2番2号 東宝日比谷ビル
  • 代表:西尾 義隆 氏
  • 法人設立:2009年8月(元々㈱ブロッサム。2017年8月に㈱さくらさくプラスへ社名変更。)
  • 従業員数:2020年8月末時点で1,105人(内185人臨時雇用者)

企業沿革

2009年8月
保育所の運営を目的として㈱ブロッサムを東京都に設立

2017年8月
株式移転により㈱さくらさくプラスを設立し、㈱ブロッサムを完全子会社化

2018年5月
不動産関連事業を目的として㈱さくらさくプラスの100%子会社の㈱さくらさくパワーズを設立

㈱ブロッサムの社名を㈱さくらさくみらいに変更

不動産事業の強化を目的に㈱さくらさくパワーズを含む4社により合弁を行い㈱あかるいみらいアセット(持分法適用関連会社)を設立

グループ会社としての事業内容



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当グループの事業内容は、”保育施設の運営事業”と”保育所関連の不動産仲介事業”の大きく2つです。保育施設の中でも特に認可保育所を首都圏中心に多く運営しており、その売上の仕組は、利用者に対して行った保育サービスの対価を、自治体から委託費用等として受け取るといったものです。保育所関連の不動産仲介事業については、保育施設の運営事業で培ったノウハウをもとに、保育施設に適した不動産の目利きを行い、仲介等サービスを主に事業者向けに行っています。また、近年日本式保育のニーズが高まっているベトナムに向けた保育サービスの展開も進めています。

売上推移

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売上利益ともに右上がりが続くまさに急成長企業です。驚くべきは、第3期第3四半期(2020年4月)において、すでに第2期(2019年7月)時点の売上、利益と同水準となっている点です。目論見書に記載にある通り、保育所の増設に伴う保育士の増員の影響で人件費等の販管費は例年比で増加傾向にありますが、それを加味してもなおCFに余裕がある状態というのは当グループの事業基盤の手堅さがうかがえます。CF計算書を見ても、営業CFプラス、投資CFマイナス、財務CFプラスとなっており。営業活動で得た資金を設備等投資にまわし、不足分を調達により補っているという、積極的な事業展開を進める企業によく見られる動きとなっています。一点懸念があるとすれば、急激なグループの進展にどこまで財務がついてこれるかということです。当然このままのCF推移だと借入残は増え続け、保育施設の増加で固定資産は増加するため、財務の流動性が低くなっていきます。多店舗展開を進める企業に良く見られる傾向ですが、一度成長が衰えてしまった際に、抱えてすぎてしまった借入と固定資産をどう処理していくかが非常に問題となります。ただ、当グループは不動産事業にも精通しているため、固定資産の調達時には資産のリセールバリューについての認識も十分あるはずです。特に首都圏を中心に保育所の増設を進めているため、地方に比べて比較的有利な状況にあり、最悪スクラップアンドビルドの局面に立っても、経営面へのダメージは比較的小さいものになるのかもしれません。

SWOT分析


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  • 当社の強み

保育事業に焦点を当てます。認可保育所の運営が大きい当グループのビジネスモデル的に自治体からの委託費は確実に入金が見込まれます。要は不良となる掛金が発生しない点は大きな強みと言えます。また、今後の国の方針として、現在の保育施設は将来的にすべて民間への委託が検討されているため、政策如何では実績のある当グループが事業拡大を進める足掛かりとなる可能性があります。

  • 当社の弱味

保育事業については、収入源の多くが自治体に依存しているため、政策や保育関連予算に影響を受けすぎることが強みである反面弱味となり得ます。また、自治体からの入金は民間に比べて一般的に回収サイトが長いこともあり、ある程度の手元CFを常に確保しておく必要もあります。また、当グループは不動産事業も手掛けていますが、内容は保育施設に特化しており、セクターは異なるものの、実質的な業種によるリスクヘッジにはなっていない状況です。今後保育業界の縮小の煽りを強く受けることが想定されます。

  • 当社を取り巻く環境

少子化の影響に加え保育士不足という問題も考えられる懸念点です。特に認可保育所であれば、子どもの人数に対する設置しなければならない保育士の人数は決まっており、それを下回るようなことがあってはいけません。顧客層としての子どもは今後少なくなる一方、従業員については常に候補を獲得しておかなければならないというジレンマを抱えている業界です。ただ、当グループの商圏は主に首都圏であり、人が集まりやすいため地方ほど子どもの確保と保育士の確保には困らないのではないかと思われます。また、現時点では自治体もある程度業界そのものに視野は当てており細く長く恩恵を受けられるのではないでしょうか。

  • 当社の脅威

当グループの競合はわかりやすく他の保育所運営会社です。保育施設ごとに夜間保育や休日保育など様々なサービスに特色を出してきており、品質競争が激化してきています。令和元年10月からの幼児教育・保育無償化により、実質の保育料は国がもってくれることとなり、クラス費など利用者が保育施設に直接支払う経費も一部あるとは思われますが、保育料のみを見たときの価格面ではそれほど大きな差が生まれなくなってきたためです。そのため特に企業が運営する保育施設は、価格の面ではなく保育そのものの質や保育士の質、保育環境の質などの”保育”という商品自体の品質で勝負するようになってきました。そしてのそれら品質の維持にはわかりやすくコストがかかります。わかりやすのが、保育士への給与やボーナス、遊具の定期メンテナンスや芝生の整備などでしょうか。当グループをはじめ、費用対効果に見合った経費の使い方が勝敗を決すると言えます。

主な経営陣

代表:西尾 義隆 氏
㈱アイディーユー(現 日本アセットマーケティング㈱)出身。2009年8月に㈱ブロッサム(現 ㈱さくらさくみらい)を設立し代表へ就任。元々不動産関連事業の畑におり、当グループでもそのノウハウを活かしています。

取締役副社長:中山 隆志 氏
㈱アイディーユー(現 日本アセットマーケティング㈱)出身。㈱ブロッサム設立時の副社長でもあり、代表とは長い比較的長い付き合いです。

取締役:北村 聡子 氏
半蔵門総合法律事務所パートナーの現任の弁護士。日本保険学会理事を務める。取締役に法の専門家がいるというのは、経営面、資金調達面でも有効にはたらく場合が多いです。
法的な部門での後ろ盾があるのは強みと言えます。

とりあえずブックビルディング申込

今回もとりあえずブックビルディングに申し込みです。正直業界的にも今後の展望はあまり芳しくはありません。あくまで素人の個人的見解ですが、現在の財務状況的を見る限りもうしばらくは右肩上がりを維持してくれるのではないかという期待も込めて。






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