IPO投資のメモ帳 ㈱カラダノートはどう?

昨日10/9からブックビルディング期間が開始した㈱カラダノート(4014、東証マザーズ)について、当社の内容について解説します。




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以下はこのIPOに関わる基本情報です(楽天証券参考)。

  • 銘柄コード:4014
  • 銘柄名:株式会社カラダノート
  • 仮条件決定日:2020年10月7日
  • 仮条件:430円~450円
  • ブックビルディング期間:2020年10月9日10:00~2020年10月15日10:50
  • 申込上限株数:100株
  • 申込株数単位:100株単位
  • 公開価格決定日:2020年10月16日
  • 公開価格:未定
  • 当社購入申込期間:2020年10月19日10:00~2020年10月21日14:00
  • 抽選日時:2020年10月21日夕方頃
  • 公開日:2020年10月27日

※以上は2020年10月10日午後時点の楽天証券内の情報です。最新の情報は逐次確認をお願いします。

企業概要

  • 本店所在地:東京都港区芝公園二丁目11番11号
  • 代表:佐藤 竜也 氏
  • 法人設立:2008年12月(元々㈱プラスアールという社名で設立。2017年7月に現社名㈱カラダノートへ社名変更。)
  • 従業員数:第11期(2019年7月)末時点で29人(内2人平均臨時雇用者)
  • 企業沿革:2010年8月、2011年9月、2011年10月に計3回資本金増資。2013年に現在の本社所在地へ移動。2011年12月より自社アプリの提供を開始する。

事業内容



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  • ファミリーデータプラットフォーム事業を展開
  • 自社アプリ:「ママびより」「陣痛きたかも」「ステップ離乳食」「授乳ノート」「ワクチンノート」「お薬ノート」「血圧ノート」その他14アプリ


当社の事業形態をざっくり説明すると、上記のような妊娠~出産~子育て世代向けのアプリを自社で開発し、そのアプリをユーザーが使うことで当社が顧客のデータを「ファミリーデータプラットフォーム」と呼ばれる独自の情報システムに蓄積します。その顧客データをユーザーの同意に基づいて提携先に提供することで、提携先から報酬を受け取るというのが主な流れです。提携先企業というのは、例えば学資保険を扱う保険会社や、離乳食を扱うメーカーなどで、お金を払ってでもユーザーの情報を手に入れることで、営業の足掛かりとしているわけです。当社の目論見書のトップでも書かれている『家族の中心である”ママ”を起点に事業を展開』という言葉どおり、妊婦から派生する様々なアプリを開発しており、ターゲット層が明確なだけにその点は強みと言えます。

売上推移

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第11期(2019年7月)の売り上げは637,637千円です。前年比で約130%の売上増加ですが、営業利益で言うと89,502千円と前年比で102%と、営業利益ベースでみるとそれほど大きな増加とはなっていません。ひとえに人件費やその他経費での出費が大きくなっているのがその理由です。確かに第10期末と第11期末の従業員数を比較してみると、第11期末の方が若干名増員しています。しかしそれだけで販管費が130千円もあがるとは考えにくいので、詳細な科目はわかりませんが他の経費がかさんでいるのでしょう。特に減価償却が計上されている可能性が大きく、というものキャッシュフロー計算書を見たときに、無形固定資産の取得によるキャッシュフローがマイナス計上されているためです。システムを更新したのか営業権を取得したのか、具体的に何を導入したのかは不明ですが、第11期の販管費が思うほど伸びていない理由はそのためではないかと考えられます。

また、キャッシュフロー計算書を単体でざっくり見てみると、営業活動キャッシュフローがプラス計上、投資活動キャッシュフローがマイナス計上、財務活動キャッシュフローがマイナス計上と、「営業で得た収益を元手に新たな設備投資と借入の返済を行う」という健全型のキャッシュフロー状況が見られます。

SWOT分析


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  • 当社の強み

ビジネスモデル的に何かを仕入れて売るという商売ではなく、いわゆるアプリの開発・運営と情報サービスがメインです。そのため、材料仕入れ等で先行する資金が他業種に比べて抑えられる点、そして固定費が最小となる点が強みではないかと感じます。先行仕入れ、つまりは買掛金や未払金が抑えられることで、不渡りの恐れが少なくなるのは経営者としては気が楽ですよね。また、アップルストアを覗いてみたところ、自社開発のアプリの評価は☆4前後と高評価なものが多く、アプリ自体の制度や知名度も大きな強みと感じます。

  • 当社の弱味

収入源となる提携先の業績に左右されるてが点が挙げられます。当社の収入の柱である、提携先からの報酬が入ってこなくなれば当社も共倒れとなってしまいます。特にこのコロナ禍における不安定な景気の中で、もし提携先企業が一部の営業活動を中止するとなればそのための顧客情報を扱う当社には収益が入ってこないこととなります。BtoB形態の事業においてはその点が懸念されます。

  • 当社を取り巻く環境

当社がターゲットとしているのは”小さい子どもがいる世帯”です。そのため当社は、今後のさらなる少子化でターゲットとなる顧客層が自然と少なくなってしまうという定めにあります。現状はまだ先の話ですが、現在のターゲット層のみを扱っていくだけではいずれ事業規模は縮小していくと思われます。しかし、当社はそもそもアプリ開発という技術に優れているため、ターゲット層を増やしていくことで、今後も業界において十分立ち回ることは可能だと思われます。

  • 当社の脅威

既に子育て世帯を対象にした同様のアプを開発しており、それなりにアプリの知名度があるといった企業が当社の競合です。アプリの開発さえできれば、他に特別な技術を必要としないビジネスモデルのため、新規参入の障壁は比較的低めだと思われます。ただ、既にある大規模な情報プラットフォームと知名度のあるアプリが新参にそう簡単に抜かれるとは考えにくいため、既存の同業者間での競争がメインになると考えられます。

主な経営陣

代表:佐藤 竜也 氏
元々モバイルマーケティング事業をメインに行っていた㈱フラクタリスト出身。同社は博報堂DYホールディングスグループのユナイテッド㈱に吸収合併されています。㈱フラクタリスト入社後約1年半後に当社を設立しており、1984年生まれと若い力みなぎるトップです。

取締役:平岡 晃 氏
日立製作所や㈱ミクシィなど名だたる企業での経験あり。

社外取締役:田中 祐介 氏
フラクタリスト元代表であり、現在はヤフー㈱の執行役員と㈱GYAOの代表を務めています。佐藤社長とは学生時代からの付き合いで、当社設立時からの社外取締役。バックボーンはかなり堅実と言えます。

とりあえずブックビルディング申込

直近IPOのダイレクトマーケティングミックスのケースがあったため、当社についても先が見えない状態ですが、とりあえず私はブックビルディングに申し込みました。コロナ禍であり、もしかするとまたダイレクトマーケティングシステムの二の舞にならずとも言い切れませんが、当社のビジネスモデル、実績を鑑みて長期で見るとそれほどイレギュラーな銘柄でもないのかなと信じています。あくまで素人の個人的見解です。投資は自己責任でお願いします。まずは抽選に当選しないと話にもなりませんが(笑)



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